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9/4に配信された新聞のミンファの記事について

個人的な見解です。


ニュースソース


太字は引用です。


「脱走の女王」の異名を持ち、くりっとした瞳にあざやかな毛並みで人気の福井県鯖江市西山動物園のレッサーパンダ「ミンファ」(メス・13歳)。体調不良が疑われて8月から非公開のスペースにいたが、約1カ月ぶりに来園者に姿を見せてくれることになった。

(中略)

穏やかな性格ながら抜群の運動神経も人気の一つだ。1歳の時にフェンスを飛び越えて脱走。翌日に近くの住宅街で発見され、神戸でも脱走を試みて飼育員を悩ませたという。その様子がテレビなどで取り上げられ、「脱走の女王」として人気者になっていった。


西山での「脱走」と神戸での「脱走を試みて」というのは質が違う。西山では前の園から移動してきたばかりで、より慎重な対応が必要だった時に、動物園外に逃げられたということ。神戸では、飼育員が見守りながら、その行動を監視している時に、赤パンダの2つ飼育場を隔てるしきりを超えたということ。客側スペースへの侵入を許したわけでもなく、外に逃げようとしたわけでもない。(追記:アクリル板の継ぎ目に爪をかけてよじ登ったことから、レッサーパンダ飼育場からも脱走する可能性があったため、一時展示が見合わされていた)

 「体調不良が疑われていたが…1ヶ月ぶりに…」という記述は彼女の健康上の問題が解決されて復帰するような印象がある。後述するが、確かに彼女をとりまく環境は改善されたが、彼女の状態における問題は非公開前と状況はほとんど変わっていないように思われる。


 今年2月に神戸から鯖江に里帰り。13歳と人間でいえば70歳に近いが、県外からファンが見に訪れるなど、今もなお人気は高い。

 異変が見受けられたのは夏ごろだった。ファンから「足をひきずっている」「食べ物が口からこぼれている」などの声が寄せられた。園が様子を確認したところ、病気の可能性もあるものの、早急に治療を施すほどではないと判断。加齢による影響が大きいと考え、少しでも過ごしやすいようにと、先月上旬、高低差の少ない非公開の飼育スペースに移動させた。


 SNSでも指摘があったが、今年5月には同園はインタビューで「50歳近い」と答えている。 (https://www.sankei.com/premium/news/190507/prm1905070001-n1.html)

今回の症状が「加齢の影響によるもの」としているので、高めに設定したのであろうか。

また、体型の変化や、足の異常に関しては4~5月頃には確認されていて、しかもそれは訪問客によって園に報告されているはずである。また、この記事の内容だと食べ物が口からこぼれている原因も加齢によるもののように思えるが、先の診断結果でも「虫歯や口内炎を悪くしたものではない」と述べているに過ぎない。未だその原因は不明なのだ。

 園は自ら発表した一連のミンファの不調の原因で唯一言及しているのは「加齢」のみである。これが許されるならば、年齢を重ねた個体は今後特別な診察も必要なく、非展示に移して「加齢」と言っておけばすべて解決してしまうではないか。


 周囲の心配をよそに、ミンファは元気そうだ。食欲旺盛で、大きくても6キロ程度の一般的な体重に対し、ミンファは約7・5キロまで増加。負担軽減のためにも今はダイエット中という。


レッサーパンダで7kgを超える個体も多くいる。しかし、園の環境や年齢やその個体の代謝次第であると思う。今回、体重に関しては、園を移動してまもなく、ペア展示の際に食事の管理に失敗して太らせてしまったことと、体重測定が適切に行われていなかった(見方によれば体重をごまかしていた)ことが問題なのだ。

 「ミンファは元気そうだ」とあるが、ミンファは今回の非展示の間に食べ物をこぼすことや足の異常に関し特別な治療が行われたわけではなく、非展示になる前と比べて特別に状況が変わったわけではない。食べ物を小さく切ることで、食べこぼしを少なくしようとしていることや、足の負担を軽くするために環境を変え、彼女をとりまく環境は改善に向かっているが、根本的な原因が解決されたわけではないのだ。


「ミンファの非展示からの公開」という情報はこれまでのところ発表されていたわけでもなく、園が新聞社に対して情報を流し、それによって取材が行われたもので、園の意図によってなされたものである。


 「脱走女王」にしても、動物園外に動物を逃がすという飼育の失敗を、動物の身体能力のせいにしたり、今回の件に関しても表向きは一切園は飼育の失敗について言及していないところから、動物そのものよりも、園の体裁ばかりを気にしているような気がする。以前の記事でも書いたけれども、動物の飼育の失敗は少なくすることはできても完全になくすことは不可能である。問題は、その失敗によっておこった動物の異常を認識し、それに対してどのように対処するかが大切なのだ。一連の件で不信感を抱いているのは、何かある度に、何も問題がなかったようにとりつくろうとしていることなのだ。これによって影響を受けるのはミンファだけではない。ミンファの状況の改善はもちろんだが、今回の件を機に、その体質が改善されるかどうかも気にしているのである。

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