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動物園からお気に入りの動物が消えるかも、という危機感

  • げん
  • 2019年9月10日
  • 読了時間: 4分


 先日のツイートでも触れたが、現在の日本の動物事情は世界から厳しい目で見られていると考えている。この先動物に関する法律は世界的にも増えていくだろうし、現在の動物福祉の考え方では、海外から日本に動物が入ってくることはますます少なくなるだろうと思っている。もし自分のお気に入りの動物が海外に行くことになって、そこが動物福祉が自分の国よりも低い国だったら、行かせたいと思う人はいないだろう。


 レッサーパンダに関して言えば、現在の日本のレッサーパンダのうち1/10以上がミンファの血筋、というのはミンファがそれだけ貢献しているという事実でもあるが、そのうち繁殖する相手がいなくなる、という危機でもあるのだ。つまり、今後は海外の血統も頼らざるを得なくなるが、それで動物が入ってこなくなるとなると、繁殖が限界に達するということになる。


 動物園という場所ではいわゆる「動物ファースト」の考え方がもっと浸透していく必要があると思っている。それは、繁殖や娯楽のような人間の事情のためだけでなく、動物園の動物にできるだけ幸せに過ごしてもらいたいという考え方である。そういった考えが広まっていない国に、喜んで動物を預ける国はない。


 今のうちに、動物福祉に関する意識を国全体で高めていかなければ、将来的に動物園そのものの存続が危ぶまれるのではないかと思っている。これは動物園の中の人だけの問題ではない。動物園を訪れる人たちの問題でもある。


 どうしても動物園としては人を集めたいだろうから、来園者を満足させるために色んな方法を用いようとするだろうし、もちろんそれは十分検討されたものがほとんどであると思っているが、特に厳しく規制されているわけではないから、動物に負担をかけるものもあるかもしれない。それを来園者が自らの知識によって拒む、というようになっていく必要があるのかな、と考えている。


 わかりやすい例で言えば、先日のマヌルネコの赤ちゃんに檻の外から、訪問客がねこじゃらしを使って遊べる、というのを園が実行しようとしたが、それを問題視する声によって(おそらく)中止となった例がある。


 また、動物になにか問題があったとしても、それがイメージダウンにつながると考える経営者もいるだろうから、それが問題がないように取り繕おうとするかもしれない(筆者から見れば、動物のヘルプを無視しているので余計にイメージダウンに繋がるのだが…むしろ、その問題を公にして、それに向き合ってくれている姿を見せてくれる方が、動物園としてはイメージがよいと考えている)。


 ただ、何が動物にとって悪いのか、ということは、ある程度動物自体に興味をもって考えるようになってからだと思うし、それがそれほど動物に興味のない人も含め国全体に広がっていくためには時間がかかるだろう。だから、気づいたときには手遅れ、ということになるかもしれない。今からでも、少しずつでもその意識を高めていく必要があると考えているから、今後のツイートにも少しずつ動物福祉をにおわせるようなことをふくませるつもりでいる。


 ちなみに、少しずつ、というのはやりすぎると反発をかいやすい、という実情があるためである。今はだいぶ浸透してきてはいるが、カメラのフラッシュでさえ、注意の仕方次第では未だ逆ギレされるのが現状である。一部の人間だけが突出して啓発していこうとしても、それはその人たちに多くの負担がかかり、結局は人それぞれが自分なりに考えて、それがその人にとって正しいことと思えるかどうかが大切だと思っている(動物の健康リスクについて急を要するものであれば、突出せざるをえないこともある)。また、筆者にとっても自分が考えていることが、どれほど動物にとって良いことにつながるのかということを改めて考える時間も必要であると考えていることもある。


 このままでは将来的に動物園から姿を消す動物もいるかも知れないし、動物園そのものが無くなってしまうかもしれない。大げさかもしれないが、その可能性はないとは言えない。筆者は、動物園という場所が、今だけでなく、この先年をとっても、安心して通える場所であってほしいので、できることは限られているが、少しずつでもやっていきたいと考えている。

 
 
 

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